翌日

私は昨日の春奈の言っていた事が気になって朝一で登校した。
する事もなく、とりあえず鞄から鏡を出して外をチラチラ見ながら三つ編みを結った。
少しすると三浦先生の赤い車が目に入った。
職員室の方へ配布物を取りに行くと三浦先生とバッタリ。
(まぁ、偶然じゃなくて必然ですけど)

「おー、野薔薇… 昨日はありがとな!」
「いえ、こちらこそ。 素敵な音楽を聞かせてくれてありがとうございました。」
早速名前で呼んでくれてる…
とかのほほんと思ったのもつかの間。
「えー!!! 智先生ひどーい! 私がいない間になんで先輩に音楽聞かせてるんですかー?? ことのん、泣くよー??」

私は自分の目を疑った。
目の前で、見知らぬ女生徒が三浦先生に抱きついてキラキラした目で彼を見ている。

「おい! 離れろ! 抱きつくな!!」
口では否定しているが本当に嫌なら無理やり引き離すハズなのに、そんなことはしていない三浦先生に少しイラついた。

「ことのん、リボン結べないから結んでー♪」
「自分で結べるくせに何言ってんだ」
「智先生が結んでくれないならしないからいいもーん」
「ったく、分かったよ」

なに? え? どういう状況?? why??
頭の中がそれしか繰り返さなくなった。

「ほらよ」
「わーい♪ ありがとう」
「三浦先生は人気ですね」
「コイツがシツコイだけだよ」
「えー、なにそれ。 ことのんっていつになったら呼んでくれるのー? 先輩のことは《野薔薇》って呼んでたじゃん」
「あぁ、鈴木って多いから下の名前なだけだ。 田島はお前1人だろ?」

そっか…
そうだよね。
鈴木が多いから野薔薇って名前で呼んでるだけだ…

三浦先生の前に居るのが辛くなった私は失礼します。それだけ言って自分のクラスの配布物を持ってその場を後にした。