楽器室に2人きり。
夢のようなシチュエーション。
ただただ時間が過ぎるのがもったいなった。
その時、三浦先生の色んな話しを聞いているだけだったけど幸せだった。
ずっと続けば良いのに、楽しい時間はあっという間に終わってしまった。

「鈴木ってこの学校いっぱい居るよな」
「そうですね。 鈴木って名字が私の学年では一番多いです」
「下の名前なんて言うの?」
「野薔薇です」
「じゃあ、野薔薇って呼んで良い?」
「構いませんよ。 他の先生方も下の名前で呼ぶ方の方が多いので」

実際、下の名前で呼ばれる事はあったけど他の先生は《ちゃん》付けだった。
だから、三浦先生に呼び捨てで呼んでもらえるのはかなり嬉しい事だった。

「なんか、ギターいじってたら弾きたくなってきた。」
そう言って三浦先生はギターを弾きはじめた。
私はこの瞬間、恋に墜ちたのだった。