陽人の話が続いた。



どうせ丸屋で働くなら、一から覚えたいと思ったから。


みんなと同じように新入社員として会社に入りたかった。


人の上に立つ人間が、何も分からないままなのはおかしいだろ。


親父に頼んで、他の社員と同じように入社式に出たいと思った。


花梨の事も本気だし、俺はみんなと一緒に働きたいんだ。


丸屋の息子としてでなく、同じ仲間と思ってほしい。

年はこの中で一番上だけど、多分世の中事が分かってないと思うから、色々と教えてほしいんだと、陽人が言った。



「田村君は偉いな。普通は嫌がるもんだよ。自分のプライドを捨てて、そんなふうに思えるなんて、なんかすごくかっこいいよ。」


みんなも頷いていた。



そして、みんなが私を見る。


え、どうして?


なんで、私ですか。



私、何かしました。