[洸side]


はぁ。
バレンタインと言うのは、
本当に面倒だ。


「洸くんっこれ受け取ってください!!」

そう言う同級生。

「洸先輩!!好きです!!これ良かったらどうぞ」

そう言う後輩。



憂鬱だ。



あ、そろそろ
"あいつ"も来るだろう




「佐々木先輩ぃぃぃぃい!!」

「うげっ」


ほらね。
こうして抱きついてくるやつ、

雨宮苺。

世間から見たら、かなり可愛いだろう。


「ったく、なんだよ。朝っぱらから。」

「はいっ!これチョコクッキーです。…ってどうしたんですか、その鞄。」


まぁ、
俺の鞄を見たら
…誰だって驚くであろう。

俺の鞄は、貰ったチョコレートで
パンパンになっているのだ。


「いや、女が無理やり渡してくるから、仕方なく受け取った。」

「あらら。モテる男はツラいですなぁ」



キーンコーンカーンコーン



「あ!やば!遅刻しちゃう!それじゃあクッキー食べてくださいね!」

「はいはい。」

「先輩大好きですー♪」

「俺は好きじゃない」



そんな会話をしてから
雨宮は慌てて
自分の教室に帰っていった。