『ん・・・・』



気付くとあたしは屋上にいた。



ゆっくりと体を起こして、手を翳す。

体はいつもどおりになっていて、


校門前に立つと、前みたいに
通れなくなっていた。



あれは何だったんだろう・・。
本当に、美祐にあうためだけに・・・。


辺りはすっかり真っ暗になってて、
あたしは一人で待った。



朝になるのをずっと。



急に怖くなった。



もう時間がない。


だんだん、気付いてきた。



あたしは、ここにはいられない。




もうすでに、体にサインが出始めている。



どうして?



ううん。そんなのわかってる。



よく言われてたじゃんか。


―幽霊って、心残りがあると現世にとどまって・・・‐




心残り・・・。



理不尽に死んでしまったこと。



でもそれが、茜くんたちのお陰で解消された。



そしたら・・。



―それがなくなると、あの世に旅立って―




それってホントの話?


だけど、本当な気がしてきた。


だって、あたし、消えかかってるんだもん。



そう思うと急に怖くなったの。



あたしがいなくなってしまうのが
こんなふうに夜中で、



知らない間にあえなくなるのが怖くなった。



誰に?



一人しかいないじゃない。



宮原くんに・・・。



あたしの体が消えていく。



あたし自身が、消えていく。



消えてしまったら“あたし”は





一体、どこにいくんだろう・・・。