たんぽぽ

「嘘……だろ……」


『宮原くん、今ならまだ間に合う。だから止めて?』



「五十嵐が、俺なんかのこと、必死に庇ってくれてる」



『今からでも遅くないから、あたしなんて見えないフリしてよ!!』




「お前が、お前のその上っ面だけの優しさに絶望して!それでも
 お前の事もいい奴のままで残しておこうと必死で!!
 何度も何度も叫んでんのがお前には聞こえねぇのかよ!?」



『宮原くんっ!!!』




ダメだ……。



茜くんには届かない。



頭おかしい奴だって、


宮原くんが馬鹿にされておしまいだ。



あたしにはわかる。



だからお願い……。



あたしなんかのために自分を傷つけないで……!!




「涼介……」




「あれ?こんなところで何してんの?」



そのときだった。
茜くんが何かを言おうと口を開いたとき、現れたの。




『奈々……』



「寺嶋……?」



「宮原くんと…茜?」



奈々は警戒したように茜くんと宮原くんを
交互に見つめた。



目が、言っている。


“余計なこと、喋ってないよね?”って…。



茜くんはぱっと奈々から目を逸らした。



宮原くんは奈々をじっと見つめているだけだった。



「ねぇ、宮原くん。こんなとこで何話してたの?
 随分盛り上がってたみたいだけど……」


「寺嶋には関係ねぇよ……」



「もしかして……真奈美のこと?」



奈々の問いかけに、宮原くんは表情をゆがめた。



「やっぱ、関係あるわ。寺嶋」



「やっぱり……茜、喋ったわね!?」



「俺は喋ってねぇよ」



「嘘!じゃあ一体、何の話してたのよ!!」



「嘘じゃねぇよ?茜は喋ってねぇ。
 俺が逆に問いただしたんだ」



「え……?」



奈々は訳がわからずに動揺し始めた。



「何で知って……」



「五十嵐に…聞いたんだよ」



「な……っ!?」



あーあ。



奈々、その顔はどんな顔?



また演技?
宮原くんがこういってくることも


奈々の頭の中のシナリオの想定内?



それとも、



ありえないっていう顔?