「は・・?」


「ありがとう。褒めてくれて。
 本当は生きてるときに完成させたかった・・」



あたしがそっと呟くと、宮原くんはあたしをじっと見つめた。



宮原くんに見つめられるとドキドキして、
自分を隠すことが出来なくなる。



なんでだろう・・。
不思議な感覚に包まれる。




あたしはふっと宮原くんに背を向けた。



埃まみれのピアノが目に留まる。



「あたし・・・。もっと生きていたかったよ。
 生きて、宮原くんと、こうして話したかった」



宮原くんはあたしをじっと見つめたまま、
何も言わなかった。



だからあたしは続けた。



今なら、この人になら
あたしの思いを伝えられると思ったから・・。



「ねぇ、宮原くん。
 戸川・・・。戸川茜くんって知ってる?」



「え?」



「あたしの・・・好きだった人・・」





もう過去のこと。



好き“だった”人。




あの時は、本当に大好きだった。




だけど今は違う。




「知ってる・・けど」



「あたしが死んじゃったのは・・」






今は、死んでしまってからは・・・






「あたしの親友だった奈々と美祐、」







大嫌いだよ。






「茜くんが原因なの・・・」










大嫌いって、
一度でも言ってみたかったよ―