たんぽぽ

そんなに前から見えてたなんて…。



あたし、全然知らなかったよ。



あたしは宮原くんに近づいてじっと見つめた。




「もしかして…」



「あ?」




もしかして…。



あたしは思った。
咄嗟に手をのばして宮原くんの頬へ向けた。




「あ…」




手は、いつもみたいに、奈々たちの時みたいにすり抜けなかった。




触れた。




宮原くんだけは触れた。



どうして?


宮原くんが見えるから?




「なっ…!?今お前…触った?」




宮原くんはびっくりしてたじろいだ。




あたしだってびっくりだよ。




なんで宮原くんだけが…。




「急に近づくなよ。びっくりすんだろ!!」





宮原くんは慌ててあたしを睨みつけた。



「宮原くん…女の子苦手なの?」





「はぁ?」




宮原くんに問いかけると、顔を真っ赤にして彼は
目を泳がせた。




そんな怖そうな見た目で赤くなるなんて、
ギャップありすぎでしょ。




「なぁ・・。さっきの曲。
 聞いたことねぇけど、誰の曲?」




え・・・?




宮原くんがそっとあたしに問いかけた。




なんていおう・・。





だって・・・。この曲は・・・。





彼の曲だもん。




宮原くんを想って作った曲。





タンポポをみつけたあの日から
募る思いを頭の中で浮かべた曲。






「ん?どした・・?」




「あの・・・・。これ・・・」




あたしは俯いて口を開いた。




題名、決めてないや。



どうしよう。




「五十嵐・・・?」






決めた。



今決めた。




うん。これしかないよね。




彼に、宮原くんにぴったりの名前。













「この曲ね、Dandelionっていうの・・」













そう。“Dandelion”














この曲はあなたの曲なの。