あたしが死んで、数週間たった日のこと。





あたしの机に向かう、1人の男の子がいた。






よく知ってる人。








学年No.1の王子様。 茜くん…。






綺麗な花束を手に、暗い顔で歩み寄ってくる。







どうしたの?






『戸川くん、彼女が死んじゃって、ショックなんだね…』







『健気ー!!やっぱり戸川くんは優しいよねっ』






茜くん。
あたしのために?





嬉しい。








ありがとう。






そう思いたかった。だけど…。









あれ?







全然うれしくない…?





何も感じなかった。






逆に、嫌悪感を抱く自分に驚きを隠せなかった。








なんで…。
あたし、茜くんには誰よりも想われたかったはずなのに…。








いつの間にか、あたしは茜くんを想う心をなくしてたんだ。





みんなが茜くんを見て不憫に思う。








だけどあたしは、
茜くんの冷たい声を思い出しながら、ただ冷たく眺めているしかなかった。