たんぽぽ

『奈々…。まなが……っまながぁっ!!』



『静かにしてよ!!先生が来ちゃうでしょ?』





美祐がパニックを起こして叫ぶと、茜くんが宥めるように背中をさすった。






奈々は…、





浮かんでいるあたしの死体を冷たく、じっと静かに見つめていた。




ねぇ、奈々。





その冷静な顔で、何を思っているの?





奈々の嫌いな真奈美は、



奈々自身が殺したよ?






でも、でもね、





あたし、ここにいるよ?






あたしはため息をついてそっと3人から離れた。






不思議と体が軽くて


すぅっと浮かんだり下がったりする。





あぁ、これが死んだってことね。





あたしの死体、すごく汚くて惨めだった。





思い出したくないけど、


顔中に痣が出来ていて、青ざめた顔つきはまるでテレビに出てくる死体みたいで、





両手は、プールで押さえつけられた時に抵抗した際の打撲と、真冬の凍ったプールに落ちた時の傷で血だらけだった。







あーあ。


もう、ピアノなんて弾けない。





こんな手じゃ、二度とピアノに触れないよ…。





こんな姿、先生がみたらなんて言うかな?





まさか、こんなことになるなんて、誰も思ってなかったよね。