たんぽぽ

着いた先はプールだった。



12月のプールの水は、見るだけで全身が凍りそうなほどだった。





あたしは奈々を弱々しく見つめた。




奈々は笑ってあたしの傷をタオルで抑えた。




『ごめん。真奈美…。あたしどうかしてたの。許してくれる?』





『えっ…?』





奈々は驚くあたしに構わずに続けた。





『また、仲良くしてくれる?』






あのとき、初めてあったあの日と同じ顔だ…。





ふわっとして、可愛い奈々の顔。





だからあたしはつい、心を許したの。





『当たり前だよ。奈々はいつだってあたしの友達だよ?』




そういってあたしは手を差し伸べた。
仲直りの握手…。




なのに、









その手は冷たく、鋭く突き放された。








『え…?』








『なーんて、そんなこと思うわけないじゃん…』







え…?







奈々…?







あたしの体はバランスを崩した。







季節が冬だっていうことと、あたしが凍ったプールサイドに足を滑らしたことが災いをもたらしたの。








ばしゃんっと音をたてて、あたしの体はプールへと投げ出された。






何が起こったかわからなくて、
ただ制服の重みと、凍てつくような寒さで頭が麻痺する。






見上げると、奈々が動揺したように目を見開いていた。




『たすけ…っ』




必死にそう呟くと、茜くんと美祐があたしの名前を呼んだ気がした。





だけど、次の瞬間、あたしの視界は歪んだ。





息ができない。






頭を押さえつけられて、もがくことしかできなかった。




無数の手で、あたしがこの世に存在することを拒否されるような気分だった。








ダメ。
頭、回んないや。








もういいんじゃない?








あたし、死ぬの?








死んだら、天国に行くってみんないうけど、




どんなのかな?








たとえどんなものだって、






このくだらない世界よりは何だってマシな気がするの。







早く、いきたい。






みんなの憧れの世界に。






みんな、ばいばい。