たんぽぽ

美祐に呼びかけられてやっと我に帰ったあたしは、


落ち着かせるために深呼吸した。


『でもすごいね。まな、結構ぐいぐいいくんじゃん♪』


『あたしも自分でびっくりしたの!もぉ恥ずかしい~!!!』


『でも、戸川くんと付き合えることになってよかったね♪』



そうだった。


あたしが、茜くんの・・・。


(彼女に・・・?)



まだ信じられない。だけど、自然と頬の筋肉が緩む。
きもい。きもい。こんな自分、絶対嫌だ。



『まぁ、良かったね。恋が実って。
 あたしとしてはもっと先かなって思ったけどね!』


『美祐。大好き。今度は美祐の恋を実らせる番だね』



『え?あたしはいいよー』


『いいからいいから!』



あたしたちはすっかり奈々のことを忘れて楽しんでいた。



コンクールのこをなんて、考えなくてもいいように、
美祐はあたしのために元気付けてくれたんだね。


嬉しくって、幸せすぎて、



気付かなかったの。



あたしは何も知らなかった。



その無知が、自分を苦しめることになるなんて、
思わなかった。