たんぽぽ

『あの・・・茜く・・・あ・・戸川くん・・』


『茜でいいよ。ゆっくりでいいから。ね?』


茜くんはあたしの気持ちを察したようにそういって笑った。
やっぱり、茜くんは優しい。


体育祭のあの日から、きっと茜くんは優しいんだなって思ってた。


『あたし・・・その・・・』


恥ずかしくて顔が熱くなるのを感じた。
だから、自分でも驚くくらい、大胆なことをしてしまったの。




『・・・・好き・・』




『え・・・・?』




『まな~・・・ナイス!!』




え?今あたし、なんていった?
まって、まって!!今の取り消し!!!!




『五十嵐さん・・・・』



茜くんの顔が見れなかった。
どう考えても、今告うべきじゃなかったはずなのに。
あたし、どうしちゃったの!?






『ありがとう。それって、彼女になりたいってことかな?』


『うぇ・・・?あっ・・えっと・・・』


思わず変な声が出てしまうのを押さえながら、あたしは考えた。

まって。彼女って“彼女”?だよね?
いきなりそんなこと言われても。


てか。“ありがと”って!!!


『そういうことだよね?まな!!』



美祐がとっさに取り持ってくれたおかげで、あたしは小さく頷いた。





『俺でよかったら・・・』




茜くんがそう呟いた。




『よろしく。真奈美ちゃん』





『名前・・・・』



『駄目だった?』



茜くんが焦ったようにそういった。


あたしは必死に首を横に振った。



『あの、ありがとう茜くん。あ・・よろしくお願いします』




あたし、きっと今日は一生に一度のラッキーデイだね。



茜くんとアドレスを交換したあと、
自分が何処を歩いたかなんて覚えていなかった。