たんぽぽ

体育館では、お昼を食べ終えた男子たちが、


バスケの試合をして遊んでいた。
この中に、茜くんもいる・・・。



茜くんたちは毎日ここにいる。だから
ワザと体育館前を通ったり、体育館に移動する
茜くんを見つけたり、そんなんで満足してた自分がいた。



でも今は、美祐のおかげで近くにいるんだ!!



あたしは心臓がどくどくいうのを必死に押さえながら美祐の
後に続いた。



『あ。茜くん・・・』


『え?どこどこ?さっすが。まなは恋愛視力バッチシだね!!』


『れ、恋愛視力?なにそれ・・・?』


『乙女視力ともいう・・・♪好きな人だけが何故か遠くで見付けづらくても
 すぐに見付けられちゃう特別な視力だよ♪』


美祐は嬉しそうにそういった。


『ね。戸川くんと話したことは?』



『あ・・・。一度だけ・・・』



そう。あれは体育祭の日。
あたしは茜くんに見とれるあまり、その場で転んでしまった。
その時だった。茜くんが手を差し伸べてくれたのは。




《大丈夫?五十嵐さん》



《どうして名前・・・》



《知ってるよ。ピアノ科の女の子だよね》



《あ、ありがとう・・》





たったそれだけだけど・・・。
あたしにとって、名前を覚えられていたことが何より嬉しかった。



『え?名前覚えてるの?じゃあ脈ありだね♪』



美祐はウインクしてそういうと、大胆な行動に出た。


『おーい!!戸川くーん!!ちょっと!!』


『美祐!?』


『チャンスだよ☆頑張れ』



茜くんは嫌な顔せずにこっちに近寄って来た。
ほかの男子はバスケを続ける。


茜くんを観にきていた女子は文句をいって帰って言った。


『あれ?美祐に、五十嵐さん?どうしたの?』



美祐と茜くんは幼馴染。あたしも名前で呼ばれたいなぁなーんて・・。


『あのね、まなが、戸川くんと話したいって』


『それでわざわざ?ありがとう。五十嵐さん』



え・・・・?え・・・・?


あたしは思わず口をパクパクさせたまま固まってしまった。