たんぽぽ

コンクールまでのレッスンは相当厳しかった。


それでも先生は丁寧に、常に優しく教えてくれた。


隣で奈々も、必死で先生の要求に応える。



あたしは嬉しかった。親友と、こんな風に2人で
目指すものが出来たことが。
だから、辛い練習も、奈々と一緒だから耐えられたの。



『違うだろ!?なんでまた間違うんだよ。寺嶋。
 お前ちゃんと練習してきたのか?』



『す、すいません。実は今週はあまり・・・出来なくて・・』



『はぁ。やる気、あるのか?』


『ごめんなさい・・・』



奈々、頑張れ。
てか、あたしも奈々のこといえないじゃん。
頑張んなきゃ・・・。



あたしと奈々が選んだ曲は、どちらも同じものだった。
奈々とはすごく気があうみたい。
先生もびっくりして笑い転げたくらいだし。



本当に、奈々に知り合えてよかった。



でも、奈々の心情はあたしとは違うものだった。



どうしておかしいことにきづかなかったのかな?




『最近、真奈美ばっかりほめられてるね・・』



『そう?気のせいでしょ!奈々もこの間、ほめられたじゃん!』



奈々が、暗くなるのに。



『・・・い。・・・らい・・』



奈々が、崩れていくのに。



『え?なんかいった?奈々?』




奈々の目が、憎しみの目に変わっていくのに・・・。







       ―ピアノなんて、嫌い―