「おいこら!!待てー!!宮原!!」



後ろから声がした。



あれ?この人、4組の担任の松土先生じゃん。



何してんのかな?




松土先生の向かった先は、足の速い男の子の背中。
気付くと男の子はもう角を曲がるところで、
先生はきっと追いつかないんだろうなって思うとちょっと笑えた。



それより、今先生が“宮原”っていった?




『宮原って・・・』




ようやく分った。




あの人が、
綺麗な声をした、少し背の低いあの人が
不良って噂の・・・。




『宮原・・・涼介・・・??』




あたしはそっと呟いた。
どうして?
あの人は本当にそういう人?



松土先生が息を切らせて走っていく。



その必死の先生をボーっと見つめながら、
あたしは思いだしていた。



あの綺麗な低い声と、
すごく温かい優しい手の温もりを・・・。



宮原涼介。



噂の不良くんは、
あたしの想像していたイメージとは
少し違う人だった。