たんぽぽ

まって・・・。まって。



今この人・・・。



『触った・・・?』



あたしはびっくりして声を上げた。当然聞こえるはずもなく、
男の子はそのままじっと、あたしの手に触れていた。




ううん。正確にいうと、あたしの手を“すり抜けた”の。



でも、あたしはまるで触れられているかのように、
その温かい手の温もりに思わず赤面した。



触られてないよ。
だってあたし、もうこの世の人間じゃないから。
これはすり抜けただけ。




茜くんのときも、美祐と奈々のときもそうだったじゃない。



「何だ・・・?」




再び、低い声が綺麗に響いた。



男の子は頬を押さえて眉をひそめた。




「・・・・何やってんだ。俺・・」




男の子はそういうと、手を離してため息をついた。
突然のことにあたしは動揺して、男の子の頬に触れたままだった。




「馬鹿みてぇ・・」




男の子は最後にそう呟くと、そのまま走ってその場を離れた。




『あっ!まって・・・っ!!』




当然、その足の速さについていけるはずもなく、その場に立ち尽くした。