あれからあたしは、屋上から逃げ出した。


あの後、あの二人はどうしたんだろう。


どうなるのか、先が見えるのが怖くてあたしは
必死に屋上から離れた。


泣きたくて、叫びたくて、
それでも、誰にも気付いてもらえない悲しさが


いっきにあたしを襲った。


コンクールの日が近付く。


あたしと宮原くんはすれ違ったまま、
秋の季節を迎えていた。



相変わらず、あたしは一人でずっと
学校の中をフラフラといったりきたりしていた。


暇。
誰にも気付いてもらえないって、すごく暇。



宮原くんを見かけることは少なくて、



それでも見かけると、
ついつい話しかけてしまう。



『あ・・・』



だけど、体が宮原くんをすり抜けてから
気付くんだ。



もう、あたしは彼と話すことは出来ないんだって。



彼が、あたしに微笑んでくれることはないんだって。



今日もあたしは、みんなと同じように廊下を歩く。
校舎内に設置された掲示板をそっと覗いた。



そういえば、宮原くんはあたしのコンクールの結果を
ここで見たんだっけ。





―あんたのこと、誰でも知ってるよ―





あの時の宮原くんを思い出すと
自然と涙が溢れた。