屋上の扉が開いた。


振り返る気力もなく、そのまま目を閉じる。


「ちょっと!!涼介!!もう探すのやめなってば!!
 霊感が強い私がいうんだよ??もうここにはいないって・・」



この声は、美香だ。


そして多分、その隣にあの人だっている。


「ちょっとほっといてくれないか?
 美香がそういうのも分るけどさ、俺は・・・」



「どうしてあの子ばっかりなの!?」



美香が途端に大声を上げた。


びっくりして、あたしは咄嗟に振り返った。


屋上の真ん中で、美香と宮原くんが2人、
向かい合うように立っていた。


美香が目に涙を浮かべて続けた。



「どうして五十嵐さんばっかり・・・。
 彼女、もう死んじゃってるのに、私が目の前にいるのにっ!!」



「ごめん。前からいってるけど、俺は美香の気持ちには
 応えられないんだ」



「どうして!?五十嵐さんが好きだから!?
 おかしいじゃない!!もう彼女、いないんだよ??」



「それでもさ、だからって美香のことそういうふうに
 みれないのに、傍にいるっていうの、嫌なんだ」



宮原くんは視線を落としてそう呟いた。