たんぽぽ


宮原くんだけが、あたしのことをずっと見てくれていた。


こんな、死んだ後のあたしでも、
いつでも見つけてくれたのに。



今はもう、みえていない。



どうして?
何で急にそんなことに??


あたしは一人で、屋上に向かっていた。



久しぶりの屋上。
久しぶりの、ここからの眺めは
何だかあたしの知らない場所みたいに思えてきた。



―好きだー



そう言ってくれた宮原くんはどこ?
あたしに触れて、あたしに微笑んでくれた彼はどこにいるの?



ううん。違う。


宮原くんの前でだけは
素直になれる“あたし”はどこにいったの??



もう何も分らない。


『だけど・・・これが普通、なのかな・・・』



あたしはボーっとフェンスの向こうを見つめながら
そっと呟いた。



そう。これが普通なんだよ。


死んだ人間がみえるなんてこと、有り得ない。

死んだ人間に触れられるなんて、有り得ないの。


だから、これが普通なんだよ。


ちょっと特別だっただけ。


あたしは何を勘違いしていたんだろう。



こんなことが、ずっと続くなんて思っていた。


だから、宮原くんと一緒にいる時間が
こんなに大切だったなんて気付かなかった。



宮原くんに、気付いてもらえない。


それだけでこんなに悲しいなんて思わなかった。



『宮原くん・・・・』



あたしの体に変化がおきたからなのかもしれない。


もうすぐで、ここからいなくなってしまうから、
宮原くんにも見えないほど、あたしという存在が
消えかけているのかもしれないと思った。