『な、なんで・・・』



「あのなぁ、何考えてるか大体
 予想がつくんだけど?」



『え・・・?』



あたしはドキッとして視線を逸らした。


嘘?ばれてる?

なんで?



「はぁ。・・・んだよお前」



宮原くんはそういうと、
あたしの手を握った。



あったかくて、やさしい手。



「あのさ、俺昨日好きだって言ったよな?」


あ、夢じゃなかった・・・。


あたしは急いで頷いた。



「んで、五十嵐も“あたしも”っつったよな?」



『ちょっと、変な声マネしないでよ』



「なんだよ。こんな声じゃなかった?」



『もー。涼介!!』






あ・・・。



やっちゃった。



つい、名前で呼んじゃった。


しかも、呼び捨てで・・・。



しんと静まり返る空気に耐えられずに
俯こうとすると、宮原くんに顔を持ち上げられた。




『ご、ごめ・・・っ宮原くん』




「いいよ。それでいいんだって」



『え・・・?』



「つまり、こういうことじゃん?」



宮原くんはそう言うと、
あたしを抱きしめた。



あたしの鼓動と、宮原くんの鼓動が
重なって、よく聞こえていた。



『ちょ・・・っ!?』




「何にも心配すんな。夢じゃねぇから」




ああ、そっか。
この人は、あたしが何も言わなくたって
何でもわかってしまうのね。




だから、この人はあたしが“みえる”んだ。



こんなに、あたしのことを想ってくれる人は
初めて。



宮原くんの腕の中で、
あたしは静かに頷いた。



あたしは、もう死んじゃってるけど、

いいのかなぁ・・・?




こんなあたしでも、



今さら、恋なんてしてもいいのかな?










ねぇ、神様。



あなたはあたしに、最後の恋をすることを
許してくれますか?