「ここにいた」



『え・・・・・・?』



閉じていた目を開けて、
声のするほうを振り返った。



『宮原くん・・・』



「待ってろっていったのに、いないからさ、
 探した。つぅか、音楽室にいると思ってたから、
 いなくてマジで焦ったわ」



笑いながらあたしの横に座る宮原くん。


あれ?授業、終わったんだ・・・。


宮原くんの顔を覗き込むと、
その横顔は凜としていて、


どこか楽しそうだった。


(成功・・・だったのかな?)


「なんだよ?」




『え?ううん。クラス、どうだったのかなって・・・』



ふいにそう聞かれてあたしは慌てて答えた。

びっくりした。急にこっち見るんだもん。


宮原くんはあたしの言葉に、
急に顔を曇らせた。



え・・?

ダメだったのかな?


やっぱり、無理させちゃったのかな?


『あ・・・あの・・・宮原く-』



「俺さ・・・」



『嫌、だった・・・?』




沈黙が走る。

どうしよう。この空気。

あたしが元気付けなきゃ・・・っ!!


えっと、何か話題、話題・・・。


あたしがあたふたしているうちに、
宮原くんは俯いて、肩を震わせていた。