たんぽぽ


「真奈美・・・何言って・・・・・・」



『真剣だよ。あたしはいつ消えちゃうかわかんない。
 ほんとはあの日、あの時に消えるはずだったのに、
 今はこうしてここにいることができる』



そう。あの時、天国ってやつをみるはずだった。


だけど、あたしの期待は裏切られた。



あの時はそう思ったの。



だけど、今は、その奇跡みたいなチャンスを
与えられて、良かったと思ってる。



だって、やり残したこと、いっぱいあるから・・・。




『だから、言えなかったことも、やれなかったことも、
 今のうちに全部やってみたいんだ』



「真奈美・・・」



『茜くんにも、美祐にも、言いたい事は言った。
 茜くんの悩みも、美祐の苦しさも取り除けた。
 だからあとは奈々、あなただけ・・・』



あたしは奈々に一歩近付いた。

奈々は反射的に一歩後ずさる。


『ねぇ、奈々。怖い?』



あたしが静かに聞くと、奈々はゆっくりと頷いた。




『苦しい?』


「・・・・・・」



また、奈々は頷く。

その大きな瞳からは涙がとめどなく流れていた。



そうだよね。

怖いでしょ?


苦しいでしょ?



『苦しくて死んじゃいたいって思う?』



「・・・うん・・・・・・」



あたしは、うつむいた奈々の傍にいき、
同じ目線になるために膝をついた。



『それでいいの。奈々』



「え・・・?」



そう。それでいい。


どうか、その苦しさと恐怖を忘れないで。



『だけど、こんなふうに傷つけないで』



「・・・・・・真奈美・・・」



『絶対に、自ら命を絶とうとしないで』