突然、宮原くんはそう言った。


あたしは聞き返して、次の言葉を
待つしかなかった。


「お前とこうしているとさ、
 もしかしてお前は死んでねぇんじゃないかって
 そう思えてきてしかたねぇんだ・・・」



『・・・・・・・・・』



「そんな顔すんなよ。おかしいって、はっきり
 言ってくれていんだよ。実際おかしい話だし」



ははっと笑う宮原を、あたしは見ていられなかった。


あたしのせいで、あたしがこんなことになったから、
宮原くんは一人で苦しんでるの?



死んでるのに、自分にだけは何故か見えてしまっていて、
みんなには見えないのに、自分には見えて、


みんなには触れられないのに、彼だけは
あたしに触れることが出来て、


声も聞こえて、普通に話して・・・。



それなのに、もうこの世にはいないなんて、
誰が普通に受け入れられる?


きっと、あたしだったら絶対に無理。


そんな中で、宮原くんは苦しんでる。


しなくてもいい葛藤で、悩んでる。


だけどあたしの前では力強い宮原くんでいてくれるの。


そんな彼が、弱音をはいた。


自分の心のうちをみせてくれた。


あたしは、当事者のあたしはどうしたらいい?


なんていえば、宮原くんを救ってあげられる?



『宮原くん・・・あのね・・・』


「え?」


あたしは宮原くんにそっと近付いて、
傷だらけになった手をとった。