その瞬間、全てが真っ暗な闇に包まれた。
体験したことのない苦しさが、一気にあたしを締め付けた。
でもね、不思議と悲しくなかった。
悲しみも、不安も、恐怖も、一切なかった。
なぁんだ。これで終わりなんだって・・・。
よく、死んだら天国にいけるって聞かされて来たけど、
天国って、一体何なんだろう?
綺麗な場所なのかな?
小さい頃にあたしがよく見た絵本では、
そこは雲の上にあって、
優しい天使が死者に笑いかけるの。
苦しみも、悲しみもない。
あるのは楽しさと、幸せだけで、
誰もが憧れる世界だった。
あたしもとうとう、天国に行くんだって思った。
目を静かに閉じて待つ。
あたしは天国ってやつを、この目で見てやろうって
期待でいっぱいだった。
だけど、
そこに天国はなかった。
だって、だって・・・。
そこは見慣れた、汚れた場所だったから。
目をゆっくりと開けたとき、
目の前にあったのは
あたし自身の“死体”だった。