キープアウト!―亮二サイドストーリー―

「なんか、気持ちが林の方に向くんじゃかって。
だから会わせたくないのもあったんだよ」

樹里は黙ってオレの話を聞いてくれている。

「それで、挙げ句の果てに束縛だろ?
なんか樹里に嫌われるようなことばかりしてるから、
終わらせた方がいいような気がした。
まさかあんなにあっさり、終わりにしようって言われるなんて思わなくて、ショックだったよ」

「あれは、あたしに原因があると思ったから」

「樹里は悪くない。オレがもっと器の大きな男なら、こんなことにならなかった」

オレは続けた。

「でもオレが『別れる』ってハッキリ言わないなら、別れたことにならないかなって思って。
家を出る時、何も言わなかったんだ」

「そうだったの?」