「おーわったー」

バタン、と体重をかけて閉めたロッカーの扉

その横でしるふの言葉に飯田が笑っている

「お疲れ。良かったね、さっきの患者さんのオペ無事に終わって」

まあ、黒崎病院でもっとも息の合った二人が動いておいて当然か

うん、はにかみながら頷いたしるふは、そのまま肩をぐるぐると回す

「今日、黒崎先生と話、出来そう?」

「うん。ばっちり雰囲気と趣向を変えてバーにでも行ってみようかと」

ゴキ、ゴキと首がなる

「バーって、黒崎先生ほとんど飲めないじゃない」

「え、でも居酒屋とか普通に行くし」

こないだ屋台でおでん食べたよ

夏に

「…あんた、愛されてるわねー」

「そう?」

というか、あの黒崎海斗を屋台に連れていけてしまうしるふが、すごい

「まあ、頑張って」

「うん、ありがと」

お疲れー

ひらひらと手を振ったしるふの背がドアの外に消えていく