この小さな世界の中で



「彼氏かー...」


自販機に着き小銭を入れながら
やっぱり一人呟いてみた。



「ふーん、彼氏ねぇ」



一人でぼっそっとつぶやいた言葉に
背後にいる“誰か”が反応した。



振り返ると知らない長身の男。
髪は黒髪で肌は焼けていた。
上履きの色は…赤。一個上だ。



「君、彼氏ほしいの?」


黒髪で長身の先輩は
お世辞でも背が高いとはいえない
あたしの目線に自分の目線を
合わしながら聞いてきた。


真っ黒な瞳には自分の
驚いたような顔が映っていた。