この小さな世界の中で



こうこうせーって
きっとキュンキュンして
甘くてルンルンした日々を
過ごせるもんだろーな

っていう入学当時のあたしの考え。


あの時期に戻って言ってやりたい。
少女漫画のようなことが
起こること可能性はほぼないと。


少なくとも1年半たった今
そんなキラキラとしたものは
どこを探しても見つからない。



「さむいなー。」

寒い廊下を進んで階段を下り
一階に向かって歩きながら
あたしは1人呟いてみた。

もしかしたら
階段を登ってきた誰かが
反応してくれるかもしれない
っていう期待を込めて。


しかし、帰ってきたのは
誰かの返事ではなく
反響した自分の悲しい独り言だった。