「好きなの選んで」
という私の言葉に
そいつが選んだのは
メロンパン
チョココロネ
クリームコロッケパン
アップルデニッシュ
なんか
菓子パン率高いな
そしてよく食うな
「あんた…甘党?」
私の問いに肩をギクリと跳ねさせる
「べ…別に」
…ちょっと顔が赤い
私がふっと笑うと
ガサッと袋を開けて
パンをカプッとくわえ更に顔を赤くする
それでもじーっと見ていると
とうとう背を向けられた
「入学祝いね…それ」
そいつの背中に話し掛けると
驚いたように振り返った
また目が合ってふっと笑うと
下を向きまたあの小さな声で
「…どーも」
と、一言だけお礼を言って
そいつはまた背を向けた

