「あ、そうだ。これ」



忘れるところだった


ふと思い出し

カーディガンのポケットから

包みを取り出して麗太に渡した



「何コレ」



「パン食べてくれたお礼」



「…俺…貰ってばっかなのに…お礼?」


眉を寄せて首を傾げて戸惑っている



「まぁいいじゃん」



「はぁ。どーも」


納得したのかしてないのか

曖昧にお礼を言う麗太



でも

「それ、駅前のパン屋の限定マフィン」


その言葉に反応して

バッとこっちを見て目を輝かせた



「いいの?」



「うん。あげる」