瞳の向こうへ

「彩佳、暑くない?」

挨拶抜きで今私が思ってる本音を口に出しました。

「それよりさ〜、ムカついた」

え〜、私の上をいきますね。

今になって初めて彩佳をまじまじと見たけど、一目でわかった。キレ気味の雰囲気が。

意外と気が短いからなあ。

スイッチ入ると何かと面倒なんです。

「ごめん!今日なんかバタバタして返信してないかも」

今のうちに謝ったほうが楽だ。

「さっきバイクにひかれそうになった!」

……自分のことではなくひとまず安心。

「マジで?」

「マジ。しかもこっち向いて謝るのかなあと思ったらそのまま行っちゃったんだよ。信じらんない。最悪!」

その割には制服汚れてないし、傷一つないし。

生きてるだけでもありがたいじゃないですかって彩佳に言った瞬間友達終了ですね。