瞳の向こうへ

今度は誰?私病人なんだけどなあ。


渋々スマホを手に取る。


「はい」


『おう!』


「源先生ですか?」


『正解。源先生だぞ。声でわかるとは。葵もやるなあ』


電話の主は源(げん)先生。


入学時からの担任の先生です。


「それは、まあ入学してからずっと担任でしたから、わかって当然です。だけど、携帯番号……。あ!そうなんですね」


『ま、そんなとこだ。スマホに慣れさせるための練習に丁度いいんじゃないかってさ』


相変わらずの高笑いが聞こえてくる。


それにしても寒い。


起き上がったばかりなのに、汗くさいベッドに潜り込んだ。


『風邪はどうだ?』


「どうですかね〜」


『まあ無理するなよ。とりあえず連絡があってな』


「先生も何かあるんですか?」


『おう。まずは、来週初めにやるか例のあれ』


「例のあれ……。あ!そうでした!忘れてた……」


『ハッハッハッ。まあ気にすんな。万全の身体でやるのが一番だしな』


先生の豪快な高笑いって私を結構癒してくれるんだよね。


でも職員室の先生たちは迷惑そうだけど。