瞳の向こうへ

「では、こちらも自己紹介しようか?」

「初めまして。綾部加奈子です。今日は葵さんの応援に来ました」

「付け加えると、来年この大会に出る予定です」

「ライバルがいた方が楽しみです。ね!!」

真緒と加奈子ちゃんは軽く会釈したけど、目は一切笑ってないよ。

これぞ女の戦い。

お〜、いつも一人でよかった〜。

「加奈子ちゃんは制服着てるけど、学生さん?」

「高二です」

「そっか……。嫌なら言わなくていいけど、さっき歩いた時足少しだけど引きずってたけど」

「ちょっと、通り魔に襲われた時に歩道橋の階段から転げ落ちちゃって。今もリハビリしてるんです」

翔君、加奈子ちゃんも加奈子ちゃんなりに前へ進もうとしてるんだよ。

事件と向き合い、向き合ったうえで新たな一歩を歩いていくんだよ。