瞳の向こうへ

【葵 side】

野球部の爽やかで熱い夏は終わりを告げ、私は明日の本番に向けて最後の追い込みにかかっていた。

八月も終わりなのに、まだまだクーラーが恋しい。

今日は朝からカウンセラー室に引き込もって潤子先生、真緒と入念な追い込みと打ち合わせをした。

「どうでしょうか?会長」

「いいと思いますよ」

「いいと思います」

三人の意見がピッタリ合ったのでコーヒーブレイクです。

「あとは、明日下痢にならなければ完璧だわ」

「今回は絶対いけます!」

「ありがとう。ところでさ、真緒焼けたね〜」

「葵さん、またそんなこと言うんですか?」

「ホントだもん」

真緒はかたくなに否定するけど、明らかに日焼けしてるんです。