瞳の向こうへ

そんな俺を勇気づけるかのようにランナーを一人置いてキャプテンがポール直撃の同点ホームランを打ってくれた。

何から何まで俺はキャプテンに救われてる。

『これで振り出しだぞ!』

キャプテンと気合いのハイタッチ。

息を吹き返した俺は暑さにも耐え得点を許さなかった。

お互い得点が入らず延長戦に突入した。

十回表。最大のチャンスが訪れた。

ツーアウトからヒット二本と死球で満塁。

バッターは刈谷先輩。

刈谷先輩は緊張を振り払おうと相手ピッチャーに吠えた。

そして、その初球を叩いた……。

一瞬抜けたと思った。

だが、セカンドがジャンプして打球を取った。

この回からセカンドが交代してたんだ。

しかも、上背がある。

刈谷先輩はベンチに戻っていくセカンドをにらみつけながら守備位置に向かった。