瞳の向こうへ

集中力を高めようとはするが、攻撃があっさり終わってしまってはどうにもならない。

さあ……大将ですよ。

本当に高校生か？

素振りのスピードが規格外です。

とりあえず、意表をつこうと変化球を投げることにした。

ランナーはためたくないのでストライクになる変化球を。

…………。

乾いた金属音がグラウンドに響く。

俺とキャプテンはボールの行方を追う。

白球が弧を描いてライトスタンドへ。

初球を打たれてしまった。

コースは悪くないはずだが、まさかライトへホームラン打たれるとは。

悠々とホームを一周するねえ。

たぶん、大歓声なんでしょう。

俺にはわからないが、これだけは今日は都合がいいぜ。

『切り替えろよ』

キャプテンがまたサインと手話を交互に繰り出して渇を入れた。