瞳の向こうへ

グラウンドはいつにも増して熱気に溢れていた。

体感温度がかなり暑いぞ。

ちょっと歩くだけでクラクラするぞ。

『翔、見てみろ向こうのベンチ。大将がお前のこと好きみたいだぞ』

確かに他の選手はウォーミングアップなり、素振りなどをベンチ前でやってるが、窪さんはベンチに座ったまま俺をまっすぐ見てる。

体格ががっちりしているんだな。

胸板が桁違いに凄いんですが……。

ベンチに座ってるだけで圧倒的な存在感に俺は吹き飛びそうだ。

『それだけお前を意識してるってことだ』

『はい……』

『そんな目で見るな!何かあったら俺たちが駆けつけるから。一人じゃないんだぞ!』

キャッチャーミットを俺の胸に当て俺を鼓舞してくれました。

そうだ。俺は一人じゃない。

一人じゃないんだ。