瞳の向こうへ

やがてバスが到着。

警備の人が仮設の入口に誘導し、みんなが続々入ってきた。

『翔!帰ってきたぞ!』

刈谷先輩のいつもと変わらぬ明るさ。

『お迎えか。ありがとな』

監督の憎めない笑顔。

『今夜ロビーでバッテリーミーティングだからな』

キャプテンの変わらね信頼感。

みんないつもと何も変わらず俺を受け入れてくれてる。

みんなとまだ野球がしたい!

こんな感情が芽生えたのはいつ以来だろうか?

いや……初めてかもしれない。

勝って先輩たちと頂点取りたい!

そのためには、明日最強スラッガーを持てる力全て出して抑える。

きっとそこに相良先輩が示してくれた何かが待っていることを信じて。