瞳の向こうへ

翔君の両手をそっと背中から離した。

私は顔を上げて涙を手で拭いた。

『翔君、あなたが今前を向けないでいるなら、私があなたを前にいかせるよ。どんなに後ろ向きになろうとも、私が壁になり、あなたを前へいかせるよ。私だけじゃない。翔君の光の先にはあなたの仲間がたくさんいるから……。私もう疲れたから帰るね。明日頑張ってよ!』

少しフラフラになりながら部屋を出た。

気分が少しだけどスッキリした……かな?

今頃潤子先生探しているだろうなあ。

居場所は絶対わからないよ。完璧だし。

早く病院戻って潤子先生に怪しまれないように振る舞わなければ。