瞳の向こうへ

鏡を見たらもう涙がとめどなく溢れていた。

自分でももう誰に手話してるのかわからない。

椅子に座ってるのも辛くて私も床に崩れるように腰をおろした。

『……翔君?』

それまで黙って私の手話を目で追っていた翔君が声をあげて頭を抱えてる。

全身震えてる。

何か口で言いたげだけど、ほとんど聞き取れない。

『翔君!!』

『……俺……』

『うん』

『……俺、どうしたらいいんですか?もう何もわからないんです。助けてください』

翔君の頬から涙がこぼれ落ちた。

翔君の叫びを伝え聞いた瞬間、私は……翔君の胸に飛び込み顔を埋めた。

私にはあなたがいる。

あなたには私がいる。

いままでもそうだったじゃない。

この手話がわたしたちを光に導いてくれる。

翔君の両手が私の背中をグイっと押しつける。

ずっとこうしてたいけど、今はまだ。