瞳の向こうへ

お父さんたちはICUに向かうため部屋を出た。

葵ちゃんはお父さんに支えられてなんとか歩いてる状態。

うつむき加減で無表情だ。

私たちは何も言葉をかけれなかった。

デイルームの掛け時計は八時にさしかかろとしてた。

源先生に状況を報告して青柳君と一緒に近くにあったファミレスで夕食を。

翔君は夕食にも顔を出さず部屋にまだこもっているらしい。

お互いおなかはすいているが、食べる意欲がわかない。

「考えてもあれなんで無理にでも食べます」

青柳君はそうは言ってるが、ペースはそれほど。

「明日大事な試合なのに付き合わせてごめんね」

「俺は全然大丈夫ですよ。ただ……。俺、葵のあんな姿見るの初めてで、どう声かけていいかわからなかったです」