瞳の向こうへ

病院に到着すると、正面玄関から別の入口から入った。

受付の男性に尋ねると、三階の家族待機部屋に行ってくださいとのことなので、指示通りエレベーターで三階に。

三階は救命救急病棟。

デイルームにいた源先生と青柳君が私たちに声をかけた。

葵ちゃんは真っ先に家族待機部屋に入っていった。

「お疲れさまです」

「お互い様ですよ」

「聞いたよ。青柳君、ありがとう」

「そんな。俺は何もしてないーー」

私たちは家族待機部屋へ振り向いた。

葵ちゃんの泣きじゃくる声がここまで聞こえてくる。

両親に会って緊張の糸が切れたんだろう。

今はご家族に葵ちゃんを委ねておこう。