瞳の向こうへ

「涼しい〜。今日も頑張りますか」

肩をぐるぐる回してカバンからクリアファイルを出してテーブルに置いた。

綴じてあるのは原稿用紙。

大会のテーマがびっしりと書かれてある。

それを確認しながら手話をした後、本番を想定しての練習。

原稿用紙を見ずにね。

「野球部明日準決勝だね」

「私は窪さんに惚れましたよ」

「あらら!翔君が泣きますよ」

「しょうがないじゃないですか。悔しかったら明日抑えろと」

原稿用紙を取り出して声を出しながら手話を始めた。

わかりますよ。先生も惚れましたよ。

ダンナには悪いけど、マジで。

またつまらないことで変ないざこざが起きるのもあれなんで私の胸のず〜っと奥底に秘めるようにします。