瞳の向こうへ

職員室で一仕事し、階段を降りたらちょうど葵ちゃんとばったり鉢合わせ。

「うわ!!」

びっくりしたけど後の祭り。

肩と肩がぶつかってしまった。

「いった……潤子先生鍛えてます?」

「ごめん!先生はアスリートではないよ」

肩を押さえて苦悶の表情で私に抗議する葵ちゃん。

この夏は私服姿を多く見たけど、久しぶりの学生服姿もまたいいね。

「どうしたんですか?」

「久しぶりに学生服だから」

「ここは学校ですから」

「ですよね〜」

軽蔑の目で見てしまってますね。

「葵ちゃん、ほら!靴ひも取れてるよ。結び直さないと」

「あれ?ちゃんと結んであったはずなんだけどなあ」

首を捻りながらそのままカウンセラー室へと入った。