瞳の向こうへ

『調子はいつも通りだよ』

さすがに悪い人でも悪いってはっきり言わないですよね。

廉よ。どうか許しておくれ。

『お姉さんは今どうしてる?』

俺が廉に対して聞きたいのはこの一点。

送信するの少しためらったが、好奇心が最後押しきった。

……うお!返信が早いなあ。

引きこもってるだけあってスムーズにやりとり出来て気持ちいい。

『学校で手話大会に向けて練習してる。なんか不機嫌。野球部激励して帰ったって言ったけど、喧嘩でもやらかした?』

はい!廉君!やらかしました!!

さすが弟。勘が冴えまくり。

『さあ〜。ここ来た時は普通だった』

悪い!!申し訳ない!!

俺は悪い野郎だ!

スマホに向かって手を合わせてる俺がいますよ。

間髪入れずに返信が。

『ならいいけど、もしケンカしてたならお互い譲り合ってほしかったなって思ったけど、安心した』