瞳の向こうへ

【翔 side】

快晴の甲子園。

この日のために毎日朝四時に起きて一日が始まる。

俺は去年の経験が身体に染みてるからどうってことはないが、うまく順応出来ないのがチラホラと。

それが、監督とキャプテンだなんて部員以外は口が裂けても言えない秘密だ。

俺は喋れないんだったな……。

俺は秘密守る男で確定ね。

開会式の時と変わらない観客の多さだ。

今年はここまで例年になく接戦が多いから嫌でも盛り上がるんだろうな。

『緊張してるか?』

投球練習を終え、キャプテンが小走りで来た。

『緊張はないです。キャプテンは大丈夫ですか?』

『俺か?まあ大丈夫ってことにしといてくれ』

重い足取りでベンチに戻った。

本番には強いキャプテンだ。きっとみんなを引っ張ってくれるさ!