瞳の向こうへ

私ったら……熱くなりすぎて。

見てよ。人生の先輩が呆気に取られてるよ。

「……潤子先生、いい教え子ね。そんな教え子の前でがっかりさせるようなこと言わないの」

松井さんは優しく頭を撫でてくれた。

どうしよう……。目から汗が噴き出てきそう。

松井さんの顔がぼやけて見える。

「……そうよね。生徒の前でこんなこと言ってるようじゃまだまだ半人前のカウンセラーね。よしよし、泣かないの」

今度は潤子先生が頭を撫でてくれた。

「泣いてません!目にゴミが入っただけです!」

ありふれた強がりを見せてはみたものの、二人には見透かされてるでしょう。

強がれば強がるほど涙が止まらない。