家に帰ってからはスマホが手放せない。


さすがにごはん食べてる時は振動してるのはわかってはいたが、必死にこらえてた。


『どう?学校は』


『どうかな』


『みんな手話出来ないんだろ?』


『いや、二人ほどそれなりに』


『ホントか?』


『でも、軽い会話しかわからない感じだし、とりあえず他のひとたちにはこれで』


テーブルの中央に親の反応を確認しながらスマホを置いた。


『まあ、時代だな』


『まあ、そうなる』


親父はどこかさびしそうにスマホを見つめていた。


『明日も早いし寝る』


あまりにも両親が沈んでいたから、さっさとスマホ取って部屋へ戻った。


雨か?


部屋へ入ると、窓ガラスには水滴が。


うわ!


突然の光に目を閉じた。


雷かよ……。


明日荒れるのかなあ。


天気の心配してたらスマホが振動してるのに気付いた。


下手したら丸一日メールや着信に気付かずほったらかしになるが、最近は気付くの早くて助かる。


女の子からメールばっか。


みんないい子だ。


ここから誰かと付き合えるなあ……なんて淡い妄想を抱き、雷が鳴り響く夜にメールをうち続けていた。