瞳の向こうへ

「え?先生が苦笑いだったからそれ以上聞くのやめた」

二人は見事に固まっちゃった。

ショックだったようで、無言で席に戻ってどこ見てるのかわからなかった。

ちょっとかわいそうだったかなあって。私が言ったことではないんだけど。

ピリピリした人間が増えて午前中は入学式以来の居心地の悪さだった。

午後になって暑さが一層厳しくなった。

昼休みただ教室でじっとしてても暑い。

ハンカチ一枚じゃ足りないよ

夏はタオル持ってきます。

さらに午後一発目の授業が数学って。

タイミングというか、都合が良すぎて嫌になるよ。

「テスト返すぞ〜」

一人一人呼ばれて答案用紙を取りにいく。

「はい、生田」

前列は動かないから楽なんだよね。

先生から答案用紙を受け取った唯は自分の点数を確認して私の肩をポンポン叩く。